満開の桜

桜が満開のこのタイミングで、
東京に来ているつもりはなかった。
台風のような夜が明けると、
翌日から快晴の空が歓迎してくれた。
そして、東京最終日、
国立駅の改札の向こう側には、
満開の桜が出迎えてくれた。

「私は、ここからの桜が一番好き」
階段を下りると、突然現れたこの景色に
思わず立ち止まって見とれていると、
通りすがりの誰かがそう言いながら立ち去った。
桜は、日本の心だと思うけれども、
この美しさが、理解でき始めたのは、
思い出す限り、20代後半だったと思う。
それまでも、桜を見て、美しいと思ったとしても、
感動する心、心が動くほどのものではなかったと思う。
この美しい桜は、毎年見ることができる。
しかし、この感動的な美しい桜を100回
見ることが出来る人は、ほとんどいない。
そう考えると、
人の一生の短さを感じざるを得ないし、
この貴重な瞬間が、また切ないほど愛おしく感じる。

この国立の大通りの桜は、
とてもスケールが大きくて、
美しかった。
大都会の真ん中で、
こんなギフトが待っていようとは、想像もしてなかった。
美しい感動をありがとう。
この美しさが理解できる日本人になれてよかった。
この美しい日本に生まれてよかった。

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