60分コースの施術の組み立てが難しい?
よくこんな話を聞きます。
それは、120分、90分のコースは、比較的簡単に流れを組み立てることができるけど、
60分コースの施術の組み立てが難しいというものです。
苦手な一番の理由は、長いコースに慣れすぎてるというのがあると思います。
120分コース、90分コースのお客さまが多いので、そんなロングコースは慣れているけど、
60分コースになると、どんな技を入れて、どんな流れで施術を行えばいいか分からないのだと思います。
言い換えれば、120分コースから、どんな技を省けばいいのか分からないということになるでしょう。
逆に僕はこう思っています。
60分あれば、たくさんの技が使えるので、お客様を満足させるためには、十分な時間であると。
なぜ、そう思えるのか?
というのは、60分コースが苦手の人と逆の境遇にいたからだと考えられます。
30分のコースばかりやってきた
ぼくは宮崎という場所で、ずっとタイ古式マッサージをやってきました。
この地で、初めてタイ古式マッサージを始めたので、周りの人たちは、誰もタイ古式マッサージというものを知りませんでした。
だから、タイ古式マッサージは、本場のタイでは通常120分コースが主流だということは誰も知りませんでした。
また知っていたとしても、地域柄そんなに長い時間マッサージを受けることは、習慣的にもあり得ないことだったのです。
タイ古式のメニューは、30分、45分、60分、90分、120分コースを作っていたのですが、
10人のお客さまが来られた場合、10人中9人が30分コースで、残りの1人が、45分か60分コースというぐらいの状況でした。
90分とか120分コースは、半年に1人くらいしか受けてくれなかったです。(笑)
さらに考えられるのは、今みたいにリラクゼーション、癒しという言葉は、まだ市民権を得ていなかったし、
そんなお店がない上に、そんなお店に行く世の中の風潮もなかったので、
マッサージに払えるお金は、3,000円程度という金銭的な価値観も当時はあったと思います。
ちなみに、30分は3,500円。60分6,000円という価格設定でやってました。
さらに、その30分のお客様の要望は、笑っちゃうようなものばかりでした。(笑)
長いコースのお客さまより短いコースのお客さまの方が、求めてこられる要望が高かったのです。
「腰痛い、肩痛い、足も痛い、頭も痛い、おまけに目も痛い、そして・・・」
『もう全身ボロボロですね(笑)。分かりました。精一杯やります』
これが僕の日常でした。
「できません」は、絶対禁句
「30分ではそんなにできません。だから長いコースにしてください」
そんなことは、口が裂けても言えません。言うつもりもありませんでした。
「できません」という言葉は、絶対、言いたくなかったからです。(笑)
誰も助けてくれない、誰も教えてくれない環境で、甘えたことなど言ってられなかったのです。
「全てのお客さまをリピーターに」そのくらいの気持ちでした。
また来てもらうために、お客様の要望の時間で、お客さまの期待に応える!
それしか生きていく道はなかったのです。
お客様が満足するために、結果を出すために、どうすればいいんだろう?
日々色々なパターンを繰り返しました。
最初の頃は、明らかに不満足の人もいました。だからこそ必死にやりました。
周りは誰もやっていないし、相談できる人はいないのですから、自分でその答えを見つけるしか方法はありませんでした。
ホントに必死だったと思います。だからこそ面白かったとも言えます。
だから、30分でもう痛いとこだらけの人が来たら、「来たな~面白い修行だ~」って笑ってました。(笑)
30分で結果を出すためには、無駄の動きを省き、感性を研ぎ澄まし、技の精度を上げる。
だから今だって、30分コースのタイ古式をやったら、誰にも負ける気がしません。
ぼくのタイ古式は、30分コースによって鍛えられたと言っても過言ではありません。
ある時、タイ古式を知っている方が東京から出張で宮崎に来られ、ぼくの30分コースを受けられた時、こんなこと言われました。
「すっごいね、今の本当に30分? 90分コースを受けたくらいのインパクトがあるね」って。
そうなんです。時間なんて関係ないです。
30分でも90分を受けたくらいの感動は、与えられるんです。
信じてもらえないかもしれませんが、難題を持ってくるお客さまをしている時なんか、すごい集中していたからなのか、俗にいう「ゾーン」に入っていたのか
「時間止まってる?」と思うような体験も何度もしました。
長い時間でないと、タイ古式マッサージはできないというのは、固定観念にすぎません。
タイ古式マッサージを日本でやっていくためには、たくさんの固定観念、たくさんの無駄を省く必要もあります。
だから、120分コースばかりやっている人は、どれを省くか?に頭を悩ましますが、
ぼくの場合は、30分で結果を出してきたから、60分コースであれば、まだ30分もある。
何でもできるっていう発想につながるんです。
固定観念を外す
そんなぼくですが、何度も何度も壁にぶつかりました。
まず最初に外せた固定観念は、
タイで習った施術の順番を変えるというものでした。
肩こりの人に、タイの教科書の順番通り足からやっていたら、明らかに不満の空気がビシバシ伝わってきていました。(笑)
それでも「足からやる。これがタイ式ですから」と心の中では思っていました。
でも、明らかにお客さまは満足してない。
そんなことを繰り返すうちに、でもやっぱり、これではいけないな~と思うに至りました。
お客様を満足させるために、順番を変える
そうだ、順番を変えようと思いつきました。
タイ古式マッサージをやるということは、
順番にこだわるよりもお客様を幸せにするためにやるべきもののはずだって。
そして、色々なパターンを試しました。
肩こりの人には、うつ伏せから始めて肩を中心にやってあげたり。
でも、今では肩こりの人でも、仰向けの足から始めますが、
順番は好きにやっていい!というのがぼくが辿り着いた結論です。
だから、横向きスタートだって、座位スタートだってアリだと思います。
タイ古式はゆっくり。その常識は本当か?
また、今、日本のタイ古式マッサージをみて思うことは、
タイ古式マッサージ=ゆっくりと思っている人が多いこと。
ゆっくり行うのが、タイ古式マッサージということを常識として信じていると、
それが固定観念になって、自由なタイマッサージという枠の外には行けない気もしてます。
日本でタイマッサージをされている方たちの多くが、
チェンマイの学校を卒業した方も多くて、その学校がめちゃめちゃゆっくりなだけで、
バンコクに数多くあるマッサージ店に行くと、そんなゆっくりの施術をしている人なんかいないのです。
この日本の状況をぼくは、こんな表現に例えています。
日本を代表する料理「精進料理」を京都に、タイの人がたくさん学びに来て、
その技術をタイに持って帰って、日本料理としてお店で出している。
タイにあるどこの日本料理屋も、精進料理を料理として出している。
だから、タイの人々は、日本料理=精進料理と思っているような感じです。
精進料理は、日本を代表する料理であることには間違いないでしょうが、
実際、日本人たちはもっとおいしい食べ物もいっぱい食べて、日本を代表する食べ物はいっぱいある。
ラーメンもあるし、牛丼もあるし、寿司もある。唐揚げもカレーもある。それらを合わせた定食なんか最高です。
早く出てきた上に、めちゃうまい!
だから、タイ人が日本に来て、日本の料理を食べたら、
「あれ?タイで食べていた日本料理とは違う」
日本でタイマッサージをいつも受けてた人が、タイでマッサージを受けたら、
「いつも受けてたタイマッサージと違う」
そんな状況なんです。
タイに行って、実際タイマッサージを受けてみれば、それは分かります。
タイ古式マッサージをやる上で中心に置くべきこだわりは?
だから、ここで伝えたいのは、
ゆっくり行うのがタイ古式マッサージのすべてではないということです。
タイ古式マッサージの心。
それは、目の前の人が健康で幸せになるように施すのがタイマッサージの心なんです。
ゆっくり行うことに、基準を合わせちゃいけないのです。
そのために外すべき固定観念は、順番とスピードです。
じゃ~早くやってもいいんだね?
って思われがちですが、そこはまたちょっと違います。
これは僕のこだわりかもしれませんが、大事なのは静かな心でやること。
早くなってもいいけど、せかせかやってはいけない。
なぜならそれは、お客様に伝わるからです。
手の動きが早くても、心が静かであればお客様の心は穏やかなままです。
大切なのはそこです。
そんな思いでやってきました。
初めて撮影した60分コースの施術風景
それで初めて60分コースの施術を動画に撮った気がします。
よかったら、参考にしていただきたいと思います。
色々な試行錯誤の捨て、お客さまが満足して、結果も出る組み合わせだと思います。
いつも全く同じ流れでやっているわけではないですが、こんな流れが僕の施術の基本ベースです。
丸ごと真似されて、お客さまに施術して欲しいと思います。
お客さまは、きっと満足されますよ。
また真似しながら、やっているとマスターの自然な動きも自然とコピーされてくると思います。
学びとは、真似ることから始まりますからね。
それが、成長の一番近道です。
■映像には、タイムカウンターを貼り付けているので、マッサージ状況の時間配分等がよく分かります。
■また字幕をつけているので、どんな技をやっているのか? が分かります。
■モデルになったなーさんの第一声は、「さすがです。60分とは思えなかった。盛り込みましたね~(笑)」でした。
■オンラインページには、60分の施術動画の他に、「ここでしか言えないマスターの本音」も書いてます。(笑)