激震

ほんの数日前、激震が起こった。

こんなことって起こっていいのか?

何かの間違いであってほしい。
心からそう思ったし、
心が締め付けられるほど苦しかった。

理解不能・・・悲しみが噴き出してくる。

ぼくの大事な友人の娘が亡くなった。
3歳の誕生日を迎えたばかりだった。

2週間ほど前、白血病が見つかった。
亡くなる2日前に友人からそう電話があった。

しかし、いろいろな種類があるなかで、
比較的治りやすい部類のものであるらしかった。

「楽観視はできないけど・・・」
友人はそう言って、電話を切った。

そんな矢先のことだった。

友人の娘は、ぼくの息子と同級生になるはずだった。

高齢でできた子供をお互い、それぞれに喜び合った。

友人の娘を抱っこしたこともある。

しかし、棺桶の中いるその子供は、
色白になり、目をつむったまま動かない。

友人から
「触ってあげて」と言われ、ほっぺたを軽く触った。

皮膚は弾力もあり、髪もつやつやしていて、
眠っているようにしか見えない。

理解できないその目の前の現実に、
胸の奥が締め付けられ、
いいようのない感情と涙が噴き出してきた。

「(葬儀までの)2日間、泣きっぱなしだった。もう涙も枯れ果てたよ」
そう言う友人は、その後も泣き続けていた。

子を持つ親は、
それがいかに残酷なことか分かる。

分かりたくないけど、強烈な何かが心を苦しくさせる。

頭では到底理解できないけど、
締め付けられるほどに大きな塊が胸の奥でうごめく。

なんですか、これは?

なんで、こんなことが起こるんですか?

なんでや?

葬儀の時、父である友人から
娘への手紙が読まれた。

「守ってやれなくてごめんね。
もっと一緒に、たくさんの思い出を作りたかったね。
ごめんね・・・・・・・・」

”お前のせいじゃね~よ・・・・・・お前の・・・・・”

かけてやる言葉が見つかるはずはなかった。

誰もそんな言葉、見つけられない。

いまだにぼくの心に大きな何かがある。

ぼくを含め、この激震の波紋はあまりにも大きい。

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