東京物語③

タイ古式マッサージ、
その中でストレッチの技の重要性は痛感する。
タイ北部のチェンマイに
ストレッチの名手・ピシェット先生というカリスマがいる。
前からその噂は聞いていた。
しかしそれまで、ぼくは出会うご縁はなかった。
特に西洋人に人気で、日本人の間でも評判の先生。
ところが、
その先生が、日本に来る?
このチャンスを逃しちゃいけない。
何もかもがグッドタイミング!よっしゃー!!
そう思った。
お会いしたピシット先生は、
想像していたよりも少々高齢だった。
会ったことも写真を見たこともなかったが、
勝手なイメージでは、50代くらいの方を想像していた。
でも、目の前にいる先生は、70代くらい。。。
あれ?
そして、ピシット先生は、主にバンコクで指導されているらしく、
「あれ?教室をチャンマイからバンコクに移されたのかな?」
そう思っていた。
ピシェットとピシット。
ピシェットと聞いていたけど、日本語読みに代えると、ピシットそう読むんだろうな」
そう思ってた。
だって、目の前のピシット先生は、
ストレッチの名手なんだから、
もちろん同一人物。
そう思っていた。
休憩時間に、4~5人の参加者の輪の中で、
ポロッと言ってみた。
「ピシェットさんは、チェンマイにいるって聞いてたけど・・・?」
ある人がおもむろに答えてくれた。
『別人らしいよ』
「・・・・・・・・・」
『私もそう思って参加したんだけど・・・・
さっき聞いたら、別人って言われた』
「・・・・・・・・・マジ?」
3日間ぼくは、ピシット先生の講習を受けた。
結論から言うと、
勘違いで受けた講習だったけど、
ピシット先生に会えて、心から良かったと思った。
とても素晴らしい先生だったし、
学ぶべきことがたくさんあった。
ありがたいご縁を頂いたと思った。
ピシット先生は、見た目通り70歳を超えていた。
となると、
タイ・マッサージ歴は、ゆうに50年は超えていることになる。
またバンコクでは、まさにカリスマらしい。
たくさんの人々に教え、その教え子たちが
タイ・マッサージのその伝統を受け継いでいる。
「君は、タイ・マッサージ何年やってる?」
先生は、ぼくにそう聞いた。
「10年です」
先生の50年と比べたら、まだまだひよっこだな。
そう感じていたけど、
先生は、ぼくのことを
「ティーチャー、ティーチャー」
と呼んでくれていた。
「お前は、先生をやっているのか」
それとも
「お前は、先生になれる男だ」
どういう意味で
そう言ってくれていたかはわからないが、
とてもかわいがってもらった。

 ぼくは3日間を心から満喫した。
 ピシット先生の空気感、
 そしてタイ・マッサージのスピリットを
 全身で感じた。
~~~~~~~~~~~~~~~~~~
時は流れ、
宮崎に帰ってきて、1ヶ月後のこと。
ピシット先生の講習会を主催してくださった方より
突然、メールが届いた。
「ピシット先生が、バンコクで亡くなった」と。
「・・・・・・・・・・・・・・・・」
また、メールにはこう書き添えてあった。
あの後、東京周辺の観光にもお連れしたけど、
「どこが最も印象に残ってますか?」
と先生に聞いたら、
『講習会が一番楽しかった』と。
大きなタスキを受け継いだ気がした。
間に合ってよかった。
ピシット先生、
ありがとうございました。
(つづく)
☆絶賛発売中☆
心の叫びが導いてくれた自由への旅―That’s why life is intere

コメントを残す