タイの光と陰⑨

道路を封鎖し、銃撃戦まで繰り広げる
「赤シャツ」軍団を、”悪”だと思えなかったのは、
仕入れのサポートをずっと一緒にやってくれたガイドさんが、
「赤」派だったからだ。
ニュースでは聞けない裏情報や
タイの事情というものを
色々教えてくれた。
彼らの要求は、「総選挙」のやり直し。
そのためデモだった。
しかし、総選挙をすると、
自分たちの地位が危ういため、
政府側は、その要求を無視し、
強制排除の武力行使に打って出た。
今回の犠牲者の大半は、「赤シャツ」の人々だった。
「赤」派の人々の願いは、ひと昔前の平和なタイ。
そのため、自らの命を懸けてまで、デモに参加していた。
しかし、その最も大きな背景に、
「国王」の不在が、ある気がした。
タイ国民に絶大な人気と絶対的な存在。
タイ国民を愛し、平和と安全を守ってきたタイの国王。
その国王が、一年ほど前から、病に倒れている。
それをいいことに、政府が暴走を始めた。
国王の下に、平和だったタイの歯車が狂い始めていた。
今回のタイは、
テレビでよく見る「イスラエルとパレスチナの紛争」
みたいな雰囲気だった。
争いに、どちらがいいも悪いもないのだろう。
立ち入り禁止場所も多く、
いつも仕入れをしているお店も閉まっていた。
その中で、
頑張って営業している見覚えのある顔もたくさんいた。
お互い名前は知らないので、アイコンタクトであいさつを交わしていく。
 「おっ!また来たの?」
 『うん!元気だった?』
 「元気だけど・・・デモがね・・・」
 『がんばってね!』
こんな厳しい状況の時だったからこそ、
僕は、行けてよかったと思った。
こんな時に、行くことになったことも
よっぽど深い因果でもあるのだろうか。
こんな騒動に巻き込まれても、
僕のタイ好きが、揺らぐことはなかった。
次回行く時は、
平和で笑顔に満ちたタイであることを願いつつ、
筆を置きたいと思います。

じゃ~ね~[#IMAGE|S3#] (終わり)

コメントを残す