タイの光と陰⑦

バンコクには、「闇両替」なるものが存在する。
通常の銀行よりも高額のレートで、
円からバーツへと両替してくれるというもの。
公式な銀行ではないため、
時々、警察のガサいれがあるとか、
聞いたことがある。
ここを紹介してもらって、
初めて訪れた時、正直怖かった。
店の前には、
怪しい人たちが数人たむろしていて、
入り口には、真っ黒いフィルムが貼ってあり、
中は全く見えなかったので、
その怪しさは、一層増幅されていた。
勇気を出して、ドアを開けたお陰で、
今の僕にとっては、なくてはならない存在になっているし、
バンコクで仕入れをするバイヤーにとっては、
ありがたいお店なのである。

慣れてしまえば、普通の両替所みたいなところ。
店の名を「スーパーリッチ」という。
『超金持ち』というこのネーミングは、
ウマイと言わざる得ない。
今回も着いた翌日、
朝一で両替を済ませ、
僕の仕入れは始まった。
ところが、その数時間後、
この周辺で、大規模な激突、銃撃戦が開始され、
ここ一帯は、無法地帯となり、
立ち入りが全面禁止となった。
紙一重で両替出来たという幸運もあったが、
ハラハラドキドキの珍道中だったね。
ふ～～～ぅ[#IMAGE|S8#] （次回、最終話）