タイの光と陰⑤

1時間くらいの移動になる予定だった。
(普通なら30分程度)

ところが、あちこちの道路が
予想以上に封鎖されていて、
行き止まり、Uターンを繰り返しながら、
網の目をくぐり抜けるような
サバイバルな道中になった。

「昨日は、ここは通れたんだけどな~」
今回のデモの騒ぎには、
彼もホトホトまいっているようだった。
そんな時、乗っていたトゥクトゥクが
急に道路脇に止まった。
”・・・・どうした?”
「なんかおかしい・・・・」
そして、彼は後ろに回った。
「おーなんてこった。
・・・・タイヤがパンクしている。。。」

僕も初めて見る状況だった。
よりによって、こんな時に・・・・?
さらに、兄ちゃんは、スペアタイヤを持っていなかった。
よりによって、こんな時に・・・・?(苦笑)
通りかかりのタクシーが、
この荷物を運んでくれるはずはなかった。
どうすんべ・・・・・?
こんな時は、ただ待つしかなかった。
何かが変化していくことを・・・・ただただ・・・・。
僕は、手頃な石を見つけて、腰を下ろした。
”こんなことは、よくあるべ。ゆっくり行こうか。”
自分に言い聞かせながら、大きく深呼吸をした。
そして、空を見上げた。
”あ~そうだ。
僕は、大好きなバンコクにいるんだ。
それだけで、幸せなことだね。”
カラッと晴れたいい天気だった。
心地よい風が、ふいていた。
僕の心に、穏やかな
静かな時間が流れていた。
・・・・・・いつかは、辿り着くことだろう。[#IMAGE|S3#] (つづく)

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