大きな桜の木の下で

今日は、昼から2時間あまり
子守りをしていた。
ドライブすれば、眠るだろうと30分あまり
車を走らせていたが、眠らなかったので、
天気もいいので、公園を散歩しようと
気持ちを切り替えた。
そして、県立芸術劇場の広い公園に辿り着き、
最も気持ち良さそうなベンチに腰を掛けた。
すると、座ると同時に、携帯のベルが鳴った。
(何てタイミングがいい。誰だ?と思った。)
それは、無二の心友のシゲからだった。
シゲは、僕の人生のキーパーソン。
そんな彼が、今度中国経由でチベットへ
桜の木を植えに行こうという野望を持っていることを
今年の正月に初めて聞いた。
10数年前にも、彼は一度それをやっている。
しかし、結局それは苦い思い出にしかならなかったようだ。
そして今、その桜が無事育っているのか?
花をつけているのか?
それすらも分からないのだという。
それをこの目で確認したい。
そして、さらに納得いく形で、この手で植樹したい。
彼の思いは、軽い思いつきなんかではなく、
深いところにある思いであることが、
僕には、痛いほど分かる。
なぜ桜か?
彼には、
中国とチベット、その友好を第3国の日本、
それを国樹である「桜」を通して、
この両国に平和をもたらしたいという
熱い思いがあるようだ。
美しい桜の花見の季節に、
中国人とチベット人が、
酒を交わし、歌い、笑い合う未来を
彼は見ている。
桜は、きっとその橋渡しになってくれるはずだと。
きっとそれは、彼が生まれ持った志みたいなものだと思う。
http://blog.goo.ne.jp/sumera4life/
(↑ シゲのブログ。読んでみてね。)
そして、いよいよあと10日あまりで出発する。
その電話だった。
ところが、色々奔走してがんばってみたが、
中国国内への「桜」の持ち込みが、
認められなかったのだという。
土がついた根の状態が、
何かの規則に制限されるのだという。
だから今回は、
自分が植えた桜が、育っているか。
さらに、たくさんの人々に出会って、
次回のチャンスへ
未来にその願いをつなげたい。
そう思っているそうだ。
彼の平和への思いは、
特にチベットへの思いは、なぜか深い。
チベットに桜の木を植えること。
それは、人生で必ずやり遂げたい
ライフワークなんであろう。
「きっと、いつの日かそれは実現すると思うよ。
だから今回は、ただ楽しんでおいでよ。」
僕はそう言って、電話を切った。
清々しい天気の中を、爽やかな風が吹いていた。
そのまま気持ちいい風に吹かれていた僕は、
上を見上げた時、ハッとした。
大きな木の枝が、
ベンチの上を覆っていた。
それは、「桜」の枝だった。
僕が偶然、座ったベンチは、
大きな桜の木の下だった。
”そうなんだ。やっぱりいつの日か実現するんだね。”
その大きな桜は、黙って僕らを見守っていた。

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