見えざるシナリオ⑤

次の日、
アジズのサットサンには行かなかった。
なぜなら、僕は娘と遊ぶために、
ここに来たのだから。
前日の瞑想は、めちゃくちゃ気持ちよかった。
でも、神秘体験よりも意識の進化よりも
聖者とのサットサンよりも
それは、大事なものであった。
目の前には、青く光るインド洋が広がっていた。
波と戯れ、時には、原チャリに3人またがり、
行けるとこまでのツーリングに出掛けたりもした。
サーティーワン・アイスの看板が出ていたので、
奥に入っていくと、ただの民家だった。
でも、そこにいたおじいさんは、
「そうか、そうか」と言って
奥に行ってから、なかなか出てこなかった。
そして持ってきたアイスは、かき氷だった。(笑)
(容器はしっかりサーティーワン・アイスだったけど)[#IMAGE|S37#] その気持ちだけで、本物より十分美味かった。
ある店では、皿もなく、ヤシの葉っぱに
乗っけただけのカレーが、出てきた。
めちゃくちゃ美味かった。
今思い出しても、涙が出るほど、
生きている幸せを噛み締めていた時間だった。
帰国してから始めることになる「サマディー」も、
まだ僕の頭の中にさえ、生まれていなかった。
僕は、ただ一心に遊んでいた。

(つづく)

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