家族の信頼

僕には、2つ違いの弟がいる。
彼は中学、高校と周りから見たら、優秀な子だった。
それで、僕はご近所、親戚からはこう言われていた。
「弟さんは、優秀なのにね。・・・・・・・・・・・・・。」
(それは、どういう意味?)
僕は目つきが悪かった。
眉毛も半分しかなかった。
ダブダブのズボンを履いていた。
謹慎処分を受けた生徒のように
いつも頭をツルツルに剃っていた。
周りは腫れ物に触るかのように、
遠目に僕を見ていた。
そんな中、弟がこう言っていた、
と母親から聞いていた。
「みんな兄ちゃんの本当の力を知らないよね。」
そして、母親は常々言っていた。
「T(弟)は、そのままの力を出しているだけ。
でも、あなたには、それ以上の力があるよ。
でもなぜ、いつも出し惜しみしてるの?」
両親と弟だけは、いつも僕の力を信じていてくれた。
周りの言葉で、傷ついた記憶は一度もないけど、(笑)
(見る目ないね~くらいにしか気にもならなかった)
もし、家族からも同じ言葉を聞いていたならば、
今の僕は、なかったに違いない。
そんな弟のところに遊びに行ってきました。
彼は今、上海(中国)にいる。
10年前の同じ10月にも、
僕は弟の家に遊びに行った。
その時は、ニューヨークにいた。
それはちょうど同時多発テロが起こる1年前の話。
たぶん、ニューヨークが最もパワフルだった時。
そして、今最も急成長な都市『上海』。
僕はなんてついているんだろう~と、
感謝しながら、上海へ行ってきた。
上海は凄かった。
でも、僕の中で最も大きな収穫になったものは、
想像もしていなかった意外なことだったけど、
・・・・・・・それは、弟との再会だった。
僕は、家族とは中学卒業までしか
一緒には暮らしていなかったので、
彼ともあまり話す機会もなく
ここまできていた気がする。
会社を休んで、空港まで迎えに来てくれた。
中華料理を一緒に食べた。
いつも通っている中国語の講座に一緒に参加させてもらった。
一緒にフットマッサージに行ったら、
担当者が”顔が似てる”って笑っていた。
学生時代、優秀だと言われていた人が社会人になり、
昔の輝きを失っていく人が多い中で、
彼は、年を重ねるごとにレベルアップしている。
彼にとって学びとは、義務ではなく、
歓びそのものなんだろう。
日本語しか話せない僕には、
英語と中国語を操る姿は、眩しすぎてカッコ良かった。
見かけは似ている兄弟だけど、
性格、生き方は全く異なる。
そんな中で、2人とも生きたいように
自由に生きている幸せを考えると、
僕は両親に感謝せざるを得なかった。
”2人は、あなたたちのお陰で
こんなに幸せに生きています。
ありがとうございます。”と。
僕も周りからどんな目で見られようとも、
自分の子供たちだけは、
”絶対信じてあげたい”
そう思った旅だった。
上海は凄かった。
・・・・・・・その話は、また、いつか・・・・・。
(成田空港より)

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